IB は 知識の量より「考える力・説明する力」を育てる教育 です。
日本の「教科→暗記→テスト中心」とは、学びの構造が大きく異なります。
「答えを教える」ではなく「問いを立てる」授業
日本の授業とIBの受領はまるっきり違うと言っていいと思います。
🇯🇵日本の一般的な授業 | 🟦IB の授業 |
|---|---|
先生が説明 → 生徒が聞く | 生徒が問いを立てるところから始まる |
正解を覚える | 正解は複数あることが多い |
テストが学習のゴール | 思考・議論・表現が学習の中心 |
先生から授業中に声かけをされる内容もまるっきり違います。
例
なぜその意見を選んだの?
あなたの根拠は何?
反対意見を理解した上で、どう考える?
→ 「考えた理由を言葉で説明できる力」 を育てる教育。
教科を「つなげて」考える(探究型カリキュラム)
IB では、教科を横断して学びます。
例
教科 | つなげる考え方 |
|---|---|
歴史 × 現代社会 | 過去の出来事が現代の問題にどう影響しているか |
理科 × 倫理 | 科学技術と社会の価値観はどう関係するか |
国語 × 芸術 | 表現には文化的背景がどう作用するか |
→ 「世界を単なる科目の集合ではなく、つながった問題として捉える視点」 が育つ。
ディスカッション(対話)中心の授業
生徒が自分の意見を話す時間が長く、
先生は「方向付け・問い返し・深める役」。
代表的な問い方
⚫︎「その見方の前提は何だろう?」
⚫︎「他の国で考えるとどうなる?」
⚫︎「もっと一般化すると?」
→ 思考を深め、抽象化する力 が身につく。
「書く力」と「話す力」の両方を重視
形式 | IBでの扱い |
|---|---|
小論文(エッセイ) | 毎日のように書く(短文から長文まで) |
プレゼン・口頭試験 | 発表が成績評価に入る |
→ アウトプットの訓練量が圧倒的に多い。
自分だけの研究を行う(EE / 課題研究)
高校では EE(Extended Essay) という
**4,000字以上の「個人研究論文」**を書きます。
「SNSは人間の自己認識にどう影響するか」
「昆虫食は食糧問題に解決策となりうるか」
「ジェンダー表現は映画でどう変化してきたか」
→ 自分で問い → 情報を集め → 分析 → 結論を出す力 が育つというわけです。
🇯🇵 日本の高校 と 🟦 IB校 の学びの違い(図解)
日本の高校とIB校の学びの違いを表にすると次のようになります。どちらにも一長一短があると考えています。
比較項目 | 日本の高校(一般) | IB校(国際バカロレア) |
|---|---|---|
授業の中心 | 先生が説明 → 生徒が聞く 受動型 | 生徒が問いを立て、議論・探究する 能動型 |
学びの目的 | テストで点を取る / 進学に備える | 世界で通用する考える力・説明する力を育てる |
思考の方向性 | 答えを1つにまとめる(収束) | 見方を広げ、複数の答えを考える(拡散) |
評価方法 | 一発の試験で評価されやすい | レポート・口頭発表・探究プロジェクトが評価に入る |
授業スタイル | 黙って聞く時間が長い | 話す・質問する・対話する時間が長い |
書く量 | 定期テスト中心、記述は少なめ | 短文〜長文のエッセイを日常的に書く |
研究活動 | 高3で少し実施する学校が多い | 2年かけて個人研究(EE)を行う |
視点の扱い | 「日本」「自分の学校」中心 | 多文化・多言語・他者の視点を必ず考える |
学習のつながり | 教科ごとに独立しがち | 教科を横断してつなげて考える(探究型) |
生徒の役割 | 指示に従い、効率よく理解する | 自分で課題を設定し、学びを進める当事者 |
まとめ
いかがでしたでしょうか。
端的に言いますと、IBは「答えを覚える教育」ではなく、「答えをつくる教育」。
子どもたちは 考え・問い・議論し・書き・発表する力 を毎日積み重ねる。
その結果、小論文・総合型選抜・面接・大学研究に強い子が育つというわけです。