慶應義塾大学文学部の小論文は、他大学とは一線を画す難易度を持っています。
アドミッションポリシーにある「自ら考え、探究し、知的に挑戦する姿勢」が評価の中心であり、受験生の“思索の質”そのものが見られる試験です。
慶應文学部 小論文の特徴(APを踏まえて解説)
慶應文学部はアドミッションポリシーで、「言語・文化・社会現象について主体的に読み、批判的に考え、自分の言葉で再構成できる人物」を求めています。したがって小論文は、次の力を総合的に見られる試験といえます。
読解力:抽象度の高い文章の構造や前提を読み解き、筆者の主張を正確に捉えられるかを問います。
批評力:筆者に賛成か反対かだけでなく、その理由を論理的に組み立て、自分の言葉で説明することが求められます。
思考の深さ:表面的な一般論や“正解探し”では不十分で、概念の本質まで踏み込む姿勢が重要です。
知的自立性:他人の意見に寄りかからず、自分の思考を組み立てる姿勢が評価されます。
過去の出題テーマ(過去20年の傾向から整理)
慶應文学部は毎年テーマが大きく変わりますが、過去20年以上の傾向を見ると以下の分類が見えてきます。
【言語・意味・コミュニケーション】
文学部の学問領域に直結するテーマです。言語行為論、意味のズレ、表象、メディア社会などが扱われます。
◼︎言葉の限界と可能性
◼︎誤解が生まれる理由
◼︎他者を理解するとはどういうことか
【社会・文化・技術】
新しい技術や社会構造の変化を批評的に捉える力が問われます。
◼︎SNS社会における人間の関係性
◼︎文化の共有と多様性の緊張関係」
◼︎テクノロジーが人間の主体性に与える影響
【自己・主体・他者】
哲学的・心理学的なテーマが多く、思考の深さが求められる分野です。
◼︎「主体性とは何か」
◼︎「内面理解と他者理解の関係」
◼︎「自由とは何を意味するか」
いずれのテーマも、「正解」を書く問題ではなく、“読み・考え・再構成する力”が本質です。
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慶應文学部 小論文の対策(APと過去問から導く)
① 本文の構造を把握する
筆者がどこで主張し、どの段落で理由を述べ、どの例を使って説明しているかを整理します。
これは慶應文学部の学問姿勢—「テキストの構造から読み解く」—に直結します。
・段落番号を打ってつながりを意識
・「重要なことは」「・・すべき」などの内容にマーク
・指示後にマーク。「例えば」は具体例終了まで囲む
・段落を読み終えて、頭の中で段落を1コトでまとめる(「この段落は前の段落の具体例」など)
② 主張と理由を抽出し、ズレなく再構成する
慶應では誤読に非常に厳しいため、「筆者の主張を自分の先入観で書き換えない」姿勢が必須です。
③ 自分の意見は“理由の深さ”で勝負する
社会事例・哲学的考察・言語論などを持ち込み、多角的な裏付けを行うと慶應レベルの答案になります。
④ 「なぜ慶應で学ぶ必要があるのか」を意識する
文学部は学問の幅が広いため、「深く考える」「批評性」「学問的探究」を重視する慶應文学部だからこそ学びたい内容を盛り込むことで説得力が増します。
小論文は大学への「自己アピール」とも捉えることができます。
慶應文学部のアドミッションポリシーから読み取れる“合格答案の形”
APを読むと、慶應が求める学生は次のような特徴があります。
●複雑な概念や社会現象を自分の頭で整理できる
●他者の意見を踏まえつつ、自分の言葉で語れる
●知的好奇心が強く、新しい問いを立てられる
したがって、小論文は「あなたがこの学びを本当に必要としているのか」を示す場でもあります。他大学でも良さそうな一般論では不合格です。慶應文学部でこそ可能な学びへの接続が必要です。
「他大学ではなく慶應文学部である」理由を意識する
慶應文学部を志望する理由、力を入れていることを意識しておきましょう。強引に小論文に盛り込む必要はありません。
自然に織り込むには、以下の視点を意識しておくといいでしょう。
<慶應文学部の特徴>
・幅広い学問領域(言語・心理・哲学・社会)を横断して学べる
・批評的思考力を重視する学風
・自分の考えを言語化するトレーニングが徹底されている
・自律した知性を育てる独自カリキュラム
慶應文学部の小論文対策は、そのまま“本学で学ぶ意味の言語化”につながります。
構成テンプレート(慶應文学部専用・AP対応)
基本的なテンプレートは次のとおりです。①から③は少し短めに。
小論文のポイントは筆者の主張のまとめではなく、生徒さんの意見だからです!
② 筆者の理由:論の骨格を抽出
③ 前提の指摘:筆者が依拠している価値・思想
④ 自分の結論:明確かつ論理的に述べる
⑤ 理由と根拠:哲学・言語・社会事例を用いて展開
⑥ 反論と再反論:思考に深みを生む
⑦ 最終結論:慶應文学部で学ぶ意義を結びに入れる
「テーマは決まったのに、構成がまとまらない…」「結論 → 理由 → 具体例だけでいいの?」「テーマごとの書き方の型が知りたい!」RYOHTA小論文の指導をしていると、こうした相談を非常に多く受けます。実際[…]
【600字例文】技術の発達と人間の関係
現代社会において技術の存在は不可避である。本文の筆者は、技術は便利さをもたらす一方、人間が自ら考える力や他者との深い関係性を弱めてしまう可能性を指摘している。筆者は、技術が生活を“補う”存在から、人間の思考や判断さえ代替してしまうことに危機感を抱いている。
私は筆者の主張に基本的に賛成である。SNSに代表される技術はコミュニケーションを容易にしたが、そこには表層的やり取りが多く、他者理解の深まりを必ずしも生まない。また、検索すれば答えが見つかる環境は、私たちの「考える時間」を奪う可能性がある。
しかし同時に、技術は知識へのアクセスや言語化能力を高める側面も持つ。重要なのは技術そのものではなく、それとどう向き合うかである。人間が技術に受け身になり、自らの思考を手放すとき、筆者の言う危険が現実化する。
私は、技術と主体的に向き合う姿勢が現代に求められていると考える。この問題は、人間理解・言語・コミュニケーションを扱う文学部の学問領域とも深い関係がある。慶應文学部での学びは、技術と人間の関係を批評的に検討する場として最適である。
まとめ|慶應文学部は「深い思考」を試す試験である
●過去問は“テーマの深さ”に慣れる最高の教材
●アドミッションポリシーの理解が答案の質を上げる
●「なぜ本学か」を自然に文章へ織り込むと強い
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