《わかりやすい》外分点のベクトル公式の簡単な証明

  • 2022年5月12日
  • 2023年11月19日
  • 数学
ベクトル外分点の公式、逆にある時
RYOHTA
ベクトルの外分点の公式をわかりやすく証明していきます。文字式に慣れていない方や、ベクトルを習いたての方はまずは問題を解けるようにしましょう

 

ベクトルの外分点の公式の確認

外分のベクトル公式1

外分点をの公式は次の通り 。$\overrightarrow{a}$には-nが掛け算され、$\overrightarrow{b}$にはmが掛け算されます。

$\begin{split}\overrightarrow{OM}&=\dfrac{-n\overrightarrow{a}+m\overrightarrow{b}}{m-n}\\ &\left( =\dfrac{-n}{m-n}\overrightarrow{a}+\dfrac{m}{m-n}\overrightarrow{b}\right) \end{split}$

まずは数字を使って考えよう

内分点を使ったよくある問題は次の通りです。以下の図で、$\overrightarrow{OM}$ を $\overrightarrow{a}$ と $\overrightarrow{b}$ を使って表すような問題ですね。AM:MB=3:1 になっています。

ベクトルの外分点の公式、例題3:1

この時、$\overrightarrow{OM}=-\dfrac{1}{2}\overrightarrow{a}+\dfrac{3}{2}\overrightarrow{b}$

になります。これがベクトルの外分点を使った公式ですね。

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「2」という分母の数字は、比の差の3-1の値。$\overrightarrow{a}$ ではB側にある比にマイナスをつけた「-1」。$\overrightarrow{b}$ ではA側にある比の「3」が分子にきます。

 

公式を使わずにOMベクトルを求めよう

先ほどは公式を使って $\overrightarrow{OM}$ を求めました。では、次は外分の公式を使わずに $\overrightarrow{OM}$ を求めましょう。外分すると考えずに、単純に $\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{AM}$ を足し算します。

ベクトル外分の公式の証明方法

ここで注意としては、AMの長さはABの長さの $\dfrac{3}{3-1}$倍 $( = \dfrac{3}{2}$倍)になっているということですね。

$\begin{aligned}\overrightarrow{OM}&=\overrightarrow{OA}+\overrightarrow{AM}\\ &=\overrightarrow{OA}+\dfrac{3}{2}\overrightarrow{AB}\\ &=\overrightarrow{a}+\dfrac{3}{2}\left( \overrightarrow{b}-\overrightarrow{a}\right) \\ &=-\dfrac{1}{2}\overrightarrow{a}+\dfrac{3}{2}\overrightarrow{b}\end{aligned}$

これで公式を使わずに $\overrightarrow{OM}$ を求められました。

ベクトルの外分点の公式の証明

外分点のわかりやすい証明

では次は文字を使って一般化して同じように $\overrightarrow{OM}$ を求めてみましょう。図では、AM:MBの比は m:nになっています。

外分のベクトル公式1

先ほどと同じように、外分すると考えずに、単純に $\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{AM}$ を足し算します。

$\begin{aligned}\overrightarrow{OM}&=\overrightarrow{OA}+\overrightarrow{AM}\\ &=\overrightarrow{OA}+\dfrac{m}{m-n}\overrightarrow{AB}\\ &=\overrightarrow{a}+\dfrac{m}{m-n}\left( \overrightarrow{b}-\overrightarrow{a}\right) \\ &=\left( 1-\dfrac{m}{m-n}\right) \overrightarrow{a}+\dfrac{m}{m-n}\overrightarrow{b}\\ &=\dfrac{-n\overrightarrow{a}+m\overrightarrow{b}}{m-n}\end{aligned}$

これで公式を使わずに $\overrightarrow{OM}$ を求められました。

 

外分点が逆にある場合

RYOHTA
ここからは応用ですので、習いたての方は読み飛ばしてOKです

基本的な証明は以上ですが、実際には外分点が逆にある場合も考える必要があります。

先ほど外分点がB側にある場合、

$\overrightarrow{AM}=\dfrac{m}{m-n}\overrightarrow{AB}$

となりました。では逆になる場合(m<nとなる場合)はどうでしょうか。

ベクトル外分点の公式、逆にある時

この場合、$\overrightarrow{AM}$ は $\overrightarrow{BA}$ の $\dfrac{m}{n-m}$倍 になりますね。

よってこれから $\overrightarrow{AM}$ を計算すると、

$\begin{aligned}\overrightarrow{AM}&=\dfrac{m}{n-m}\overrightarrow{BA}\\ &=\dfrac{m}{n-m}\left( -\overrightarrow{AB}\right) \\ &=\dfrac{m}{m-n}\overrightarrow{AB}\end{aligned}$

これから $\overrightarrow{AM}$ の値は、外分点が右側にある時、左側にある時で同じになりました。なので、外分点が左にある時も公式は成り立つというわけですね。

 

RYOHTA
外分点の公式を証明する問題はほとんど出ませんが、ざっくりとやり方を覚えておくといいですね。問題が解くことを優先しましょう。