「途中式を書きなさい。」
学生時代、先生から何度も言われたフレーズです。
でも、その理由を教わった人は意外と少ないのではないでしょうか。
多くの人は、
●部分点をもらうため
●先生に見せるため
だと思っています。
もちろん、これらも結果として得られる効果です。
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計算が速い生徒ほど、実は危ない
私はこれまで多くの生徒を指導してきましたが、途中式を書かない生徒の多くは、決して数学が苦手ではありません。
むしろ、
●答えもよく合っている
●私より速く解く生徒もいる
そんな生徒がたくさんいます。しかし、答案を詳しく見ると、
●状況が整理されていない
●論理が飛んでいる
というケースが少なくありません。
例えば、次のような問題

ホワイトボードで二次方程式を解いていると、最後の答えをx=3だけと書いてしまう生徒がいます。
途中で確認する習慣がないため、見落としてしまう典型例です。
逆の例もあります。

「長方形の一辺の長さを求めなさい。」という問題なのに、8 と −3と答えてしまう生徒がいます。
長方形の一辺が−3cmということはあるでしょうか。
もちろんありません。
これは計算ができないのではありません。
「今、何を求めているのか」を考えず、数式だけを処理してしまっている状態です。
途中式は「思考を整理する道具」
私は途中式を、計算を書く場所ではなく、思考を書く場所だと考えています。
頭の中だけで考えていると、
●何を見落としたか
●なぜその式になったのか
が曖昧になります。
途中式や図を書くことで、自分の考えを客観的に確認できるようになります。
まるで、自分の頭の中を紙の上に書き出すようなものです。
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難しい問題ほど、途中式で差がつく

計算が速い人の落とし穴
簡単な計算問題なら、速く解ける人が有利かもしれません。
しかし、高校数学や大学入試レベルになると話は変わります。
難しい問題ほど、
●条件を整理する
●場合分けをする
●一つずつ確認しながら進める
という作業が必要になります。
速く解ける生徒が伸び悩む一番の理由は、考え方を整理する習慣が身についていないことです。
途中式を書けば伸び続ける
小学生・中学生のうちから丁寧に途中式を書く習慣を身につけた生徒は、高校生になってからも伸び続けます。
一方、速さだけを追求してきた生徒は、その学び方を変えることに苦労します。
実際、図や途中式を書く習慣が身についていない生徒は、高学年になればなるほど、残念ながら簡単には書けるようになりません。なぜなら、
速く解ける生徒が、あえて立ち止まり、図を書き、途中式を書きながら考える。
これは一度身についた解き方を変えることになるため、想像以上に難しいのです。
だからこそ、小学生や中学生のうちから、図を書き、途中式を書き、自分の考えを整理する習慣を身につけておくことが大切なのです。
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AI時代だからこそ、途中式は必要
AIは答えも詳しい解説も、一瞬で作ってくれます。
しかし、AIはあなたの頭の中までは整理してくれません。
途中式を書くという作業は、
●矛盾に気づく
●思考を深める
ための時間です。
AIを上手に使いこなす人ほど、この「自分で考える過程」を大切にしています。
私がレッスンで一番見ているもの

実は私は、生徒の最終的な答えよりも途中式を重視して見ています。
そこには、
●どこで迷ったのか
●なぜ間違えたのか
が、そのまま記録されているからです。
レッスン中、生徒から、
「先生は教えるために図や途中式を書いているんですよね。」
と言われることがあります。
でも、私はこう答えます。
「違うよ。教えるために書いているんじゃない。」
「私は問題を解くときも、いつも同じように図や途中式を書いている。」
図や途中式は、生徒に説明するためではありません。
私自身が考えるために必要だから書いているのです。
もし図や途中式を書かなければ、私も難しい問題は解けません。
数学が得意な人ほど、頭の中だけで考えているわけではありません。
紙に書きながら、
●確認する
●考えを深める
という作業を繰り返しています。
だから私は、「途中式を書きなさい。」とはあまり言いません。
代わりに、「今、何を考えている?」と質問します。
まとめ
途中式を書く本当の理由は、計算ミスを減らすためでも、部分点をもらうためでもありません。
自分の思考を整理し、数学を「考える教科」として学ぶためです。
答えだけを追うのではなく、
●状況を整理する
●自分の考えを確認しながら解く
それが、本当の数学力です。
途中式を書くとは、計算を書くことではありません。自分の思考を書き残すことなのです。
小学生にとって算数は、もっとも重要な教科です。計算ができる・できないではなく、算数では将来まで続く学力の土台が育ちます。 ●数のイメージ●図形の感覚●筋道を立てて考える力 […]